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古来、人間は、木を伐ることで樹木の無限の恵みを引き出し、利用してきた。
牛、豚、羊の飼料、英国の沼沢地の萌芽更新による枝で編んだ石器時代の木道、スペインの一二世紀の手入れされたナラの林、一六世紀のタラ漁船のための木材づくり、野焼きによって森を育んだ北アメリカの先住民、日本の萌芽林。
ニューヨーク植物園の育樹家が、世界各地を旅し、一万年にわたって人の暮らしと文化を支えてきた樹木を収穫する技術を掘り起こし、現代によみがえらせる。
目次
ニューヨークを救う木―ヤナギの再生
忘れられた言葉―木とともに生きる
記憶―失われた技法
萌芽の地―木の行動に学ぶ
即興演奏する樹木たち―倒れた樹木に宿る生命
枝分かれ(branching)―ネットワークの中で生きる
高架下の雑木林(スパゲッティの森)―創造力のある生き物
石器時代の湿地の木道(レヴェルズにて)―萌芽枝の利用
街路の発明―同じ森を利用する
バネ―人の手が促す森の遷移〔ほか〕
ウィリアム・ブライアント・ローガン
ニューヨーク植物園で教鞭をとる。これまで30年間、木を相手に働いてきた。
認定育樹家で、ニューヨーク市を拠点とする樹木管理の会社の創設者兼社長。
ガーデンライターズアソシエーションから数々の賞を受賞しており、「House Beautiful」「House and Garden」「Garden Design」などの雑誌の寄稿編集者、「ニューヨークタイムズ」のレギュラーのガーデンライターでもある。
国際樹芸学会のニューヨーク州支部から2012年のSenior Scholar賞を、国際ISAからTrue Professional of Arboriculture賞を受賞。
『樹木の恵みと人間の歴史―石器時代の木道からトトロの森まで』で、最も優れたネイチャーライティングの著作に贈られるジョン・バロウズ賞を受賞。