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僕が働く喫茶店には、不思議な常連さんがいる。
必ず木曜日に来て、同じ席でココアを頼み、エアメールを書く。
僕は、その女性を「ココアさん」と呼んでいる。
ある木曜日、いつものようにやって来たココアさんは、しかし手紙を書かずに俯いている。
心配に思っていると、ココアさんは、ぽろりと涙をこぼしたのだった。
主夫の旦那の代わりに初めて息子のお弁当を作ることになったキャリアウーマン。
厳しいお局先生のいる幼稚園で働く新米先生。
誰にも認められなくても、自分の好きな絵を描き続ける女の子。
銀行を辞めて、サンドイッチ屋をシドニーに開業した男性。
人知れず頑張っている人たちを応援する、一杯のココアから始まる温かい12色の物語。