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いま人類が忽然と姿を消したら、世界各地ではいったい何が起こるのか。住人を失ったあなたの家は、その時点から腐りはじめ、100年後には煙突のレンガなどを除く屋根や壁のほとんどは崩れ落ちるだろう。高層ビルを擁する大都市もまた、地下への浸水から崩壊し長くはもたない。人類なきあとにはどんな動物たちが地上を闊歩するのか。イヌはもはや人間なくしては生きられないが、ネコは小動物を狩りながら自由を満喫するだろう。アフリカで人間の後釜に座るのはヒヒかもしれない。人間が残したいと思う文化的生産物は、銅像などを除けば、ほとんどが数万年のうちに跡形もなく消え去るが、プラスティック粒子、放射性物質などはその後も地球の環境に大きな影響を及ぼし続けるだろう。また、テレビ番組の電波は宇宙空間を永遠にさまよい続け、どこかの生命体の退屈を紛らせるかもしれない……。
最新の科学的知見にもとづき、あらゆる側面から人間の営みを見つめなおして語る壮大な未来予測。
アラン・ワイズマン
ジャーナリスト。最新作である本書を含め、5冊の著作がある。《ハーパース》《ニューヨークタイムズ・マガジン》《ディスカバー》など数多くの新聞、雑誌に寄稿している。アリゾナ大学で国際ジャーナリズム学を教えるほか、ホームランズ・プロダクションでドキュメンタリー番組制作を手がけている。彼の代表作となった本書は、タイム誌の2007年ベストノンフィクションに選ばれたほか、Amazon.com Best Books of 2007やiTunesベストオーディオブックのノンフィクション部門でも第一位となっている。現在は、彫刻家の妻とともにマサチューセッツに住んでいる。
地球最大規模のエコ実験と呼ばれる、コロンビアの自給自足集落「ガビオタス」に関する前作Gaviotasも、早川書房より翻訳刊行の予定。