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「四十代になる前に森の奥で隠遁生活を送ろうと心に決めていた。
湖や森と向かい合い、日々が過ぎゆくのをみつめた。
薪を割り夕食の魚を釣り、山を歩きたくさん本を読み、窓のそばでウォッカを飲んだ。
冬と春を過ごし、幸福と絶望、そして最後には平穏を知った」。
冒険家でゴンクール賞作家のテッソンが、シベリアの奥地バイカル湖畔の小屋で半年を過ごした。
冬の気温はマイナス32度、村からの距離は120km、小屋は標高2000mの山々の裾にあり、窓からは湖岸が見える。隠遁生活に彩りを与えるのは、雪と森と山と湖、野生動物、ロシア人の森林保護官や漁師たちとの交流、そして読書。
「心のなかに自由を感じ取れるようになるためには、だだっ広い空間と孤独が必要だ。それに加えて、時間をコントロールすること、完全なる静けさ、過酷な生活、素晴らしい土地との接触もまた必要である。
こうしたものを獲得できる場所こそが、小屋なのだ」。
孤独と内省のなかで自然のざわめきと向かい合い、人生の豊かさを見つめ直し、自分自身が変わっていく日々を綴る、現代版『森の生活』。
メディシス賞(エッセイ部門)受賞作。
目次
二月 森
三月 時間
四月 湖
五月 動物
六月 涙
七月 静謐
テッソン,シルヴァン
1972年生まれ。冒険家、作家。
これまでにヒマラヤ徒歩旅行、ユーラシア・ステップの騎馬旅行などの旅行記や、エッセイ、中編小説などを発表している。著書『野宿生活 Une vie'a coucher dehours』(2009年)でゴンクール賞とアカデミー・フランセーズ文学賞を受賞。
本書『シベリアの森のなかで』(2011年)でメディシス賞(エッセイ部門)を受賞。
『ホメロスと過ごす夏 Un ´et´e avec Hom`ere』(2015年)、
『黒い径の上で Sur les Chemins noirs』(2016年)をはじめベストセラー多数。
2019年に『ユキヒョウ La panth`ere des neiges』でルノードー賞(小説部門)を受賞