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山に夕闇がせまる
子供達よ
ほら もう夜が背中まできている
火を焚きなさい
お前達の心残りの遊びをやめて
大昔の心にかえり
火を焚きなさい
――山尾三省「火を焚きなさい」
山尾三省の詩は、いまの時代にますます、ひつようとされている。わたしがわたしをとりもどすために。あなたがあなたをとりもどすために。
早川ユミ「わたしの、根っこのひと」
野とともに生きること、家族とともに生きること。
詩人・山尾三省(1938〜2001年)の著作と詩集から、48篇の詩、4篇の散文作品を選び、あらたに編集したベストセレクション。家族とともに屋久島に移住し、耕し、詩作し、祈る暮らしを続けた詩人の心温まることばを集めました。布作家・早川ユミの解説、画家・nakabanの漫画も収録。(発行=野草社)
目次
1(火を焚きなさい;漫画 Make the Fire(原作=山尾三省 翻案・作画=nakaban))
2(沈黙;日と月 ほか)
3(歌のまこと;夕日 ほか)
4(山桜;新月 ほか)
5(森の家)
6(山に住んでいると;石 ほか)
山尾三省
1938年、東京・神田に生まれる。早稲田大学文学部西洋哲学科中退。
67年、「部族」と称する対抗文化コミューン運動を起こす。
73〜74年、インド・ネパールの聖地を一年間巡礼。
75年、東京・西荻窪のほびっと村の創立に参加し、無農薬野菜の販売を手がける。
77年、家族とともに屋久島の一湊白川山に移住し、耕し、詩作し、祈る暮らしを続ける。2001年8月28日、逝去