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泣ける味、待つ味、消える味……。おとなだからわかる。美味しさの引き出し63。
心で感じる味わいエッセイ。思わずのど鳴る旬の食の情景も満載!
泣ける味、待つ味、吸う味、消える味。食材と調味料の足し算では掬いきれない、新しい味覚が開かれるとき、その裏には流れる四季と人との出会いがある。上機嫌の父がぶら下げた鮨折りで知った心地よく鼻に抜けるわさびの辛み。煮る炒めるのひと手間で、鮮やかに変貌する古漬けたくあんの底力……。
時の端々で出会った忘れられない味の記憶に、美しい言葉を重ねた至福の味わい帖。
【目次】
口絵――里の味/山の味/磯の味/消える味/初夏の味
わたしの味
1
もうしわけない味
奢った味
熟れた味
冬の味
乾いた味
泣ける味
ぼんやりした味
ずれる味
侮れない味
自慢の味
だめな味
残る味
おつな味
口絵――水の味/太陽の味/川の味/涼む味/海の味/車中の味
腑に落ちる味
ひとりの味
きれいな味
あきれた味
2
春先の味
深山の味
雨の味
川の味
島の味
男の味 女の味
噛む味
ひなびた味
霜の味
獣の味
寒の入りの味
水の味
消える味
3
世間の味
選ぶ味
待つ味
読む味
吸う味
小鍋の味
ぬくい味
一丁前の味
憎らしい味
匂いの味
歳月の味
再会の味
暮れの味
骨の味
神さまの味
口絵――根の味/待ちわびる味/晩酌の味/寒の入りの味/神さまの味/真冬の味/いけない味/割烹の味/日だまりの味/締めくくりの味
おしまいに
解説 安西水丸
本書に登場した店、宿など
平松洋子
1958(昭和33)年、倉敷市生れ。東京女子大学卒業。エッセイスト。世界各地に取材し、食文化と暮らしをテーマに執筆している。著書に『夜中にジャムを煮る』『平松洋子の台所』『おいしい日常』『買物71番勝負』『買えない味』(Bunkamura ドゥマゴ文学賞受賞)、『おもたせ暦』『よい香りのする皿』『おんなのひとりごはん』『焼き餃子と名画座』『サンドウィッチは銀座で』『韓国むかしの味』『野蛮な読書』(講談社エッセイ賞受賞)、『なつかしいひと』『洋子さんの本棚』(小川洋子との共著)、『日本のすごい味 おいしさは進化する』『日本のすごい味 土地の記憶を食べる』ほか多数。