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日本の山は
なぜこんなに美しい。
日本の山は多彩で、同じ風景の山は一つもない。これは日本の山が古くからの様々な年代の地質からなり、地質が異なると山容も植生も変わるからである。大陸から分離した後、日本列島では隆起が始まり、火山活動も盛んになった。本書は5億年の歴史を繙き、日本の山の地質・地形と自然ができるまでを俯瞰したユニークな試みである。山を愛する読者必読の一冊。
本書では、山を構成する岩石の年代順、あるいは山ができた順番に話をしてみたいと考えました。いわば山を中心に日本列島の地史を再構成しようという試みです。以前登ったあの山は、日本列島の歴史の中でこんな意味をもっていたのかと、この本をみてその性格を再認識していただければ、と思います。(はじめにより)
■内容 目次
第1章 日本最古の鉱物、礫、岩石
第2章 日本列島の地質の生い立ち
第3章 日本の山地、山脈の形成
第4章 大陸のかけらの岩石でできた山々
第5章 五億年前の日本列島誕生のころの地質からなる山々
第6章 五億年前〜三億年前の飛驒外縁帯などからなる山々
第7章 三億年前の石灰岩と変成岩 舞鶴帯、秋吉帯、三郡帯
第8章 二億年前〜一億年前の付加体がつくる山々 美濃・丹波帯、秩父帯、足尾帯
第9章 手取層(礫岩層)にできた山々
第10章 一億年前〜六〇〇〇万年前の領家帯と濃飛流紋岩からなる山々
第11章 一億年前の付加体・四万十帯からなる山々
第12章 四万十帯と同じころの地層や貫入した岩体からなる山々
第13章 北海道の山々の生い立ち
第14章 二〇〇〇万年前の地質からなる山々
第15章 一四〇〇万年前の火成活動でできた山々
第16章 一〇〇〇万年前以降の新しい地質でできた山や海岸
第17章 六〇〇万年前から三〇〇万年前の岩からなる山々
第18章 三〇〇万年前以降に活動した火山と隆起した山並み
本書で取り上げた主な山名地図
■著者紹介
小泉武栄(こいずみ・たけえい)
1948年、長野県生まれ。東京学芸大学名誉教授。東京大学大学院理学系研究科博士課程単位取得退学。理学博士。専門分野は自然地理学、地生態学。「松下幸之助花の万博記念奨励賞」(松下幸之助花の万博記念財団)、「日本地理学会賞優秀賞」、「沼田眞賞」(日本自然保護協会)などを受賞。著書に『日本の山と高山植物』(平凡社新書)、『ここが見どころ 日本の山』(文一総合出版)、『登山と日本人』(角川ソフィア文庫)、『地生態学から見た日本の植生』(文一総合出版)ほか多数。元日本ジオパーク委員会委員。