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東南アジアでは自然の破壊と改変が顕著であり、住民の暮らしはそれに翻弄されてきた。度重なる戦争、経済のグローバル化などが複合的に関与している。その連鎖を歴史のなかで読み解く鍵はどこにあるのか。ひとつの大きなヒントが著者の語りにあった。それが人間中心主義からの訣別であり、森とともに暮らしてきた民族の文化から、森の声、森の思想を読みとる哲学である。
目次
第1部 アルンタ族の地域について―地域の意味についての考察(アルンタ族の地域の自然的環境;アルンタ族における地域の成立;アルンタ族の地域)
第2部 森林・草原・砂漠―西アフリカに於ける地域の秩序について(森林;草原;砂漠)
第3部 TINBUKTU―沙漠と草原との結び目
第4部 パ・タン村―北部ラオスにおける村落社会の構造(村落社会の背景;村落生活の秩序;村落社会の諸相;地域社会の構造)
第5部 私の単純生活―そのおわりとはじめ
岩田慶治
1922年、神奈川県横浜に生まれる。京都大学文学史学科卒業。同大学大学院文学研究科修了。タイ、ラオス、カンボジア、マレーシア、インドネシア、フィリピン、スリランカの各地域で調査・研究に従事。大阪市立大学教授、東京工業大学教授、国立民族学博物館教授、大谷大学教授を経て、国立民族学博物館名誉教授・東京工業大学名誉教授