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夢枕 獏氏 「近年の山岳ノンフィクションでこれほど面白く読んだものはない」
角幡唯介氏 「『那智の滝で逮捕』のニュースを聞き、妙な嫉妬心と敗北感を覚えた」
従来の冒険ノンフィクションと一線を画した「冒険界のポスト・モダン」。
その書き手が宮城公博だ。
アルパインクライミングの世界では、日本で十指に入るという実力者であり、
数ある登山ジャンルの中で「最も野蛮で原始的な登山」と呼ばれる沢登りにこだわる「外道」クライマー。
「人類初」の場所を求めて生死ぎりぎりの境界に身を置きながら、その筆致は時にユーモラスで読者を惹きつけて止まない。
世界遺産・那智の滝を登攀しようとして逮捕されたのをきっかけに、日本や台湾、タイの前人未踏の渓谷に挑んでいく。
地理上の空白地帯だった称名廊下、日本を代表するアルパインクライマー佐藤裕介と共に冬期初登攀を成し遂げた落差日本一の称名の滝、怪物のような渓谷に挑んだ台湾のチャーカンシー……。
そして「誰もやったことのない登山」をめざして行った46日間のタイのジャングル行は、道に迷い、激流に溺れかけ、飢えに耐え、大蛇と格闘する凄まじい旅だった。
宮城公博
1983年愛知県春日井市生まれ。ヒマラヤ、カラコルムでのアルパインクライミングから南国のジャングルでの沢登りにいたるまで「初挑戦」にこだわり続け、国内外で数々の初登攀記録をもつ。2009年、ヒマラヤ・キャジョリ峰北西壁への単独初挑戦。12年、那智の滝での逮捕によって7年間勤めた福祉施設を辞める。13年、立山称名滝冬期初登攀、台湾チャーカンシー初遡行、カラコルムK6西峰北西壁挑戦。14年、立山ハンノキ滝冬期初登攀、タイ46日間のジャングル初遡行など。