Detail
茶を習い始めて二十五年。
就職につまずき、いつも不安で自分の居場所を探し続けた日々。
失恋、父の死という悲しみのなかで、気がつけば、そばに「お茶」があった。
がんじがらめの決まりごとの向こうに、やがて見えてきた自由。
「ここにいるだけでよい」という心の安息。
雨が匂う、雨の一粒一粒が聴こえる…季節を五感で味わう歓びとともに、「いま、生きている!」その感動を鮮やかに綴る。
目次
茶人という生きもの
「自分は何も知らない」ということを知る
頭で考えようとしないこと
「今」に気持ちを集中すること
見て感じること
たくさんの「本物」を見ること
季節を味わうこと
五感で自然とつながること
今、ここにいること
自然に身を任せ、時を過ごすこと
このままでよい、ということ
別れは必ずやってくること
自分の内側に耳をすますこと
雨の日は、雨を聴くこと
成長を待つこと
長い目で今を生きること
森下典子
1956(昭和31)年、神奈川県横浜市生れ。日本女子大学文学部国文学科卒業。
大学時代から「週刊朝日」連載の人気コラム「デキゴトロジー」の取材記者として活躍。
その体験をまとめた『典奴どすえ』を’87年に出版後、ルポライター、エッセイストとして活躍を続ける。