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最近、DNAの分析技術が飛躍的に進歩し、現代人はもとより古人骨に残された遺伝子から日本人のルーツとなる人々が溯れるようになった。アフリカを出た人類がどのような道をたどって東アジアに到達し、日本列島へ渡ったのか、分子遺伝学の立場からその足跡に迫る。また、縄文人が先住する日本に大陸から稲作技術を持った弥生人が移り住んできたという日本人の二重構造論をDNA分析から検証。縄文から弥生への移行は平和的に行なわれたのか?渡来した集団の規模は?さまざまな疑問に縄文・弥生人の遺伝子分析から答える意欲的な一書。
目次
第1章 遺伝子から人類史をさかのぼる
第2章 出アフリカ―ミトコンドリアDNAが描く新人の拡散
第3章 DNAが描く人類拡散のシナリオ
第4章 アジアへの二つの道すじ
第5章 日本人の持つミトコンドリアDNA
第6章 日本人ミトコンドリアDNAの地域差―北海道先住民、沖縄、そして本土日本人
第7章 古人骨の語るもの
第8章 日本人になった祖先たち
第9章 父系でたどる人類の旅路―Y染色体を追う
第10章 DNAが語る私たちの歴史
篠田謙一
1955年静岡県生まれ。京都大学理学部卒業。博士(医学)。佐賀医科大学助教授を経て現在国立科学博物館人類第一研究室長。専門は分子人類学。日本や周辺の諸国の古人骨DNA解析を進めて、日本人の起源を追求しているほか、スペインによる制服以前のアンデス先住民のDNA研究から、彼らの系統と社会構造について研究している