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日本民俗学のメッカ遠野郷は現在の岩手県遠野市周辺にあたる。その遠野地方に、今なお語り伝えられている民間信仰や異聞怪談の数々。山の神、山女、雪女、天狗、川童(かっぱ)、オシラサマ、オクナイサマ、ザシキワラシ……。これらを採集整理し、流麗な文体で綴った本書は、柳田国男の愛と情熱が行間にあふれる民俗洞察の名著である。山本健吉、吉本隆明、三島由紀夫の三氏による解説を収録。
柳田国男
(1875-1962)兵庫県生れ。東京帝大法科卒。農商務省に入り、法制局参事官、貴族院書記官長を歴任。のち朝日新聞社に入り、国際連盟委任統治委員も務める。その間、1909(明治42)年に『後狩詞記』を刊行、1913(大正2)年には雑誌「郷土研究」を創刊、1935(昭和10)年には民間伝承の会(のちの日本民俗学会)を創始して、日本民俗学の確立と研究の普及に努めた。1951年文化勲章受章。『遠野物語』をはじめとした膨大な著作は『定本柳田国男集』全36巻に収められている。