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ある休日、神戸の家を出て有馬温泉まで歩いてみた。距離はほんの6km。つぎの休日は有馬温泉を起点に六甲山を越えて西宮まで歩き、そのつぎの休日は西宮から三宮まで歩き…、結局6日間かかって姫路まで歩いた。「歩けば歩ける」と思った……とうとう下関に到着し、山陽路を歩き終えるとフェリーでプサンに渡り、韓国を歩いた。
――こうして計画性もなく歩き始めて、韓国―中国―ベトナム―ラオス―タイ―ミャンマー―バングラデシュ―インドまで、総距離7118km、8年の徒歩の旅となった。
途中道を迷ったり、宿が見つからなかったり、官憲に行く手を阻まれその目を盗んで歩いたり、キミョウな虫や動物に遭遇したり…だがいつも出会っていたのは(彼らにとっては)ごく普通の暮らしぶりのごく普通の人びと。腹が立つこともあり、あったかい出会いもあり…
このキテレツな旅にあなたを巻き込みます!
権 二郎
1956年大阪生まれ。写真家&旅行家。小学6年生で「乗り鉄」「撮り鉄」となりひとり旅をはじめた。受験就職の荒波に揉まれた後、いつしかディープな海外旅行にハマり、写真やエッセーを雑誌等に寄稿する。ミニコミ誌『テクパチ』(テクテク歩いてパチリとシャッターを切る)主宰。おもな写真展「裏通りの中国人」「メコンデルタ」(いずれもキヤノンサロン)、「メコンの船旅」(コニカサロン)、ネパリーハル(銀座、中之島、高知)。主書『オランジュパン』(長征社)。