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ただの象は空は飛ばないが、四千二百五十七頭の象は空を飛ぶかもしれないのだ…。事実という「旗門」から逸脱しないことを自らに課してノンフィクションを書く。最後の一人になっても住んでいたいとの念を抱いて東京に暮し、熱に浮かされるように旅に暮す。さまざまなフォームで、滑走を試みた十年間の記録。
沢木 耕太郎
1947(昭和22)年、東京生れ。横浜国大卒業。
ほどなくルポライターとして出発し、鮮烈な感性と斬新な文体で注目を集める。『若き実力者たち』『敗れざる者たち』等を発表した後、1979年、『テロルの決算』で大宅壮一ノンフィクション賞、1982年には『一瞬の夏』で新田次郎文学賞を受賞。常にノンフィクションの新たな可能性を追求し続け、1995(平成7)年、檀一雄未亡人の一人称話法に徹した『檀』を発表。
2000年に初めての書き下ろし長編小説『血の味』を刊行。2002年から2004年にかけて、それまでのノンフィクション分野の仕事の集大成『沢木耕太郎ノンフィクション』が刊行され、2005年にはフィクション/ノンフィクションの垣根を超えたとも言うべき登山の極限状態を描いた『凍』を発表、大きな話題を呼んだ。