Detail
上巻
僕の兄は罪もない人々を殺した。何が兄の中に殺人の胎児を生みつけていったのか?―四人兄弟の末弟が一家の歴史に分け入り、衝撃的な「トラウマのクロニクル」を語り明かす。暗い秘密、砕かれた希望、歴史の闇から立ち現われる家族の悪霊…殺人はまず、精神の殺人からはじまった。村上春樹渾身の翻訳ノンフィクション作品。
目次
第1部 モルモンの幽霊(兄弟;血の絆;ジョーダン・レインの家;アルタと死んだインディアン)
第2部 黒い羊と、拒絶された息子(黒い羊;拒絶された息子;フェイの秘密;さすらいの年月;定着した一家)
第3部 兄弟(見知らぬ者たち;片隅の少年;青春の暴走;父との暮らし)
第4部 ある種の人々の死にざま(兄たちの肖像)
下巻
76年夏、運命の日が訪れた。殺人。判決は死刑。兄は銃殺刑を求めた。その恐怖の世界を抜け出すための手だては、たったひとつしか残されていなかったのだ。刑執行を数日後にひかえた兄との対決、母の死、長兄の失踪…そして最後の秘密が暴かれる。家族のゴーストと向きあいつつ、「クロニクル」は救済と新たな絆を求めて完結する。
目次
第4部 ある種の人々の死にざま(丘の上の家;あるセールスマンの死;レクイエム;武装強盗事件;離散する家族;それぞれの帰還;反抗;歩く死者)
第5部 血の歴史(ターニング・ポイント;高名なる殺人者;最後の言葉)
第6部 涙の谷間に(家族の最期;新しい家庭、古い幽霊;秘密と骨と;故郷からの手紙)