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壮絶な作品『火宅の人』を世に遺して逝った無頼派作家・檀一雄―その未亡人に、一年余にわたる綿密なインタビューを重ねてきた著者が、取材の過程で微妙に揺れ動く「作家の妻」の心の襞から、檀一雄が書かなかったもう一つの『火宅の人』を紡ぎ出す。ノンフィクションとフィクションの境界線上に、新しいスタイルの伝記文学。
沢木耕太郎
1947年東京生れ。横浜国立大学卒業。ほどなくルポライターとして出発し、鮮烈な感性と斬新な文体で注目を集める。1979年『テロルの決算』で大宅壮一ノンフィクション賞、1982年『一瞬の夏』で新田次郎文学賞を受賞。その後も『深夜特急』『檀』など今も読み継がれる名作を発表し、2006年『凍』で講談社ノンフィクション賞、2013年『キャパの十字架』で司馬遼太郎賞を受賞する。長編小説『波の音が消えるまで』『春に散る』、国内旅エッセイ集『旅のつばくろ』『飛び立つ季節 旅のつばくろ』など著書多数。