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身も心も愛してほしいのに、なぜ男は冷たいふりをするのよ。
親譲りの財産で、きままな生活を送る島村は、雪深い温泉町で芸者駒子と出会う。許婚者の療養費を作るため芸者になったという、駒子の一途な生き方に惹かれながらも、島村はゆきずりの愛以上のつながりを持とうとしない――。冷たいほどにすんだ島村の心の鏡に映される駒子の烈しい情熱を、哀しくも美しく描く。ノーベル賞作家の美質が、完全な開花を見せた不朽の名作。
川端康成
1899(明治32)年生まれ。1920(大正9)年7月、第一高等学校を卒業、東京帝国大学文学部英文学科に入学(のち、国文科に転科)。1921(大正10)年2月、第六次『新思潮』を創刊。1927(昭和2)年3月、短篇集『伊豆の踊子』刊行(金星堂)。
1937(昭和12)年6月、『雪国』刊行(創元社)。1948(昭和23)年6月、ペンクラブ第四代会長に就任。
1952(昭和27)年2月、『千羽鶴』刊行(筑摩書房)、芸術院賞をうける。翌年、永井荷風、小川未明らとともに芸術院会員となる。
1961(昭和36)年11月、文化勲章を受賞。1962(昭和37)年11月、『眠れる美女』で毎日出版文化賞を受賞。
1968(昭和43)年10月、ノーベル文学賞受賞が決定。1972(昭和47)年4月16日、逗子マリーナの仕事部屋でガス自殺。