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われわれのDNAは、受精の瞬間から死に向けて時を刻み始める。
ある細胞は自ら死を選び、また別の細胞は成長を止める―遺伝子にはあらかじめ死がプログラムされているからだ。
なぜ生命に「死」が組み込まれたのだろうか。
36億年かけて生命が進化させた「死の機構」とはいかなるものか。老化と死の宿命を逃れる術はないのか。死の誕生と進化をたどり、生命科学者がわれわれにとっての老いと死の意味に迫る。従来の死生観を揺るがす衝撃の書。
目次
第1章 死―見るもおぞましきもの
第2章 人間はいつ死を知ったか
第3章 生の終わりの多様性
第4章 死を考えるための生命の歴史
第5章 死の起源と進化
第6章 細胞分裂と細胞死
第7章 性と死
第8章 死に向けて時を刻む
第9章 すりへってゆく生命
第10章 死とは何か
柳澤桂子
1938年東京生まれ。60年お茶の水女子大学理学部を卒業し、アメリカに留学。分子生物学の勃興期に立ち会う。63年コロンビア大学大学院修了。慶應義塾大学医学部助手を経て、三菱化成生命科学研究所主任研究員としてハツカネズミの発生の研究に取り組む。30代より激しい痛みと全身のしびれを伴う原因不明の病に苦しみ、83年に同研究所を退職。以来、病床で多数の科学エッセーを執筆。