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妻を亡くした老残の本多繁那は清水港に赴き、そこで帝国信号通信社につとめる十六歳の少年安永透に出会った。彼の左の脇腹には三つの黒子が常の星のようにはっきりと象談されていた。転生の神秘にとり憑かれた本金は、さっそく月光姫の転生を賭けて彼を養子に迎え、教育を始める…...。存在の無残な虚構の前で逆転する <輪廻>の本質を劇的に描くライフワーク『豊饒の海」完結編。
三島由紀夫
1925‐1970。東京生れ。本名、平岡公威。1947(昭和22)年東大法学部を卒業後、大蔵省に勤務するも9ヶ月で退職、執筆生活に入る。’49年、最初の書き下ろし長編『仮面の告白』を刊行、作家としての地位を確立。主な著書に、’54年『潮騒』(新潮社文学賞)、’56年『金閣寺』(読売文学賞)、’65年『サド侯爵夫人』(芸術祭賞)等。’70年11月25日、『豊饒の海』第四巻「天人五衰」の最終回原稿を書き上げた後、自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決。ミシマ文学は諸外国語に翻訳され、全世界で愛読される。