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外国人青年、少女、老婦人、大家族…。
空港の到着ロビーで行き交う人々の、人生の一瞬の重なりを鮮やかに掬い取った川端賞受賞の表題作。
恋人に別れを告げられ、妻が眠る家に帰った男性の心の変化をこぼさず描く「寝室」。
“僕らは幸福だ”“いいわ”―夫婦間の小さなささくれをそっと見つめた「ピクニック」。
わたしたちが生きる上で抱え続ける、あたたかい孤独に満ちた、六つの旅路。
川端康成文学賞受賞作。
江國香織
1964(昭和39)年東京生れ。’87年「草之丞の話」で「小さな童話」大賞、’89(平成元)年「409ラドクリフ」でフェミナ賞、’92年『こうばしい日々』で坪田譲治文学賞、『きらきらひかる』で紫式部文学賞、’99年『ぼくの小鳥ちゃん』で路傍の石文学賞、2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、’04年『号泣する準備はできていた』で直木賞、’07年『がらくた』で島清恋愛文学賞、’10年『真昼なのに昏い部屋』で中央公論文芸賞、’12年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞を受賞した。小説以外に、詩作や海外絵本の翻訳も手掛ける。