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小夜は12歳。人の心が聞こえる〈聞き耳〉の力を亡き母から受け継いだ。ある日の夕暮れ、犬に追われる子狐を助けたが、狐はこの世と神の世の〈あわい〉に棲む霊狐・野火だった。隣り合う二つの国の争いに巻き込まれ、呪いを避けて森陰屋敷に閉じ込められている少年・小春丸をめぐり、小夜と野火の、孤独でけなげな愛が燃え上がる……愛のために身を捨てたとき、もう恐ろしいものは何もない。
上橋菜穂子
1962年、東京都生まれ。作家。
川村学園女子大学教授。専攻は文化人類学で、オーストラリアの先住民アボリジニを研究。
著書に、『精霊の木』、『月の森に、カミよ眠れ』(日本児童文学者協会新人賞)、『精霊の守り人』(野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞、全米図書館協会バチェルダー賞)、『闇の守り人』(日本児童文学者協会賞、バチェルダー賞オナー)、『夢の守り人』(『精霊の守り人』『闇の守り人』と3作合わせて路傍の石文学賞)、『虚空の旅人』(『精霊の守り人』『闇の守り人』『夢の守り人』『虚空の旅人』と4作合わせて巌谷小波文芸賞)、『神の守り人』(小学館児童出版文化賞、児童福祉文化賞、JBBYオナーリスト)、『蒼路の旅人』、『天と地の守り人』、『狐笛のかなた』(野間児童文芸賞)、『獣の奏者』などがある。
『精霊の守り人』『獣の奏者』はアニメ化され、テレビ放送された。また、世界中で翻訳出版が進んでおり、『精霊の守り人』は、2008年にアメリカで出版された翻訳児童文学の中で最も優れた作品に与えられるバチェルダー賞を受賞。『獣の奏者』も、フランス、ドイツ、スウェーデン、韓国、タイ、台湾など多くの国々で読まれている。