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「私が父について書こうと決めたのには、理由がある」――。
24歳で母を亡くし、我が家は、父と娘の私だけに。それから20年が経ったけれど、いまだに家族は増えていない。気づけば私は40代半ば、父は80歳になろうとしている。
いま猛烈に後悔していることがある。母の人生を、母の口から聞かなかったことを。母の母以外の顔を知らないまま別れてしまったことを。
父については、もう同じ思いをしたくない。
もっと、父のことを知りたい。もう一度、父と娘をやり直したい。それには、これがラストチャンスかもしれない――。
戦時中に生まれ、戦後社会に飛び出て、必死で働いた父。母との出会い、娘の誕生、他の女性の影、全財産の喪失、母の死……。
父への愛憎と家族の裏表を、娘の視点で赤裸々に描く傑作エッセイ。