Detail
「ふわふわ」を正し、じたばたしながら、「くよくよ」を守れ。
ポジティブになれない日本人のための試行錯誤論、
ここに見参!!
在野研究者・荒木優太が日本のプラグマティズム受容史を探索しながら「転んでもいい主義」をガイドする、待望の新刊!
試行錯誤は人間の最大の武器であるはずなのに、
今の日本には「可謬主義=転んでもいい主義」が足りない──!
「失敗すること」を日本人はどう考えてきたのか?
異様に前向きなアメリカ文化によって開拓されたプラグマティズム思想が日本でどのように受容されてきたのか(されてこなかったのか)、その歴史をたどりながら人間の生の営みのその根本へと手探りで進んでいく。
人生はクソゲー。だけど「七転び八起き」で生きていく勇気がわいてくる、
「八回目に起き上がるための」日本式プラグマティズム入門書。
プラグマティズムって……なに?
・間違ってもいいんだよ、人間だもの。
・習うより慣れろ。
・やってみなくっちゃ分からない!
……だいたいこんな感じのやつ。
もうどうなってもいいよと思うことがある。その失敗は君の財産になるんだよという行儀のいいアドバイスがとてもうるさく感じるときがある。絶対にそうしたほうがいいのにそれでも次の一歩が踏み出せないときがある。そんなときは失敗を正しく捉えるのではなく、捉え損ねた失敗の歴史なかで、それでもそれが歴史である──あるものはある──という事実をただ率直に認めることを本書は勧める。失敗を有効活用する成功の経済の手前で、残骸をただの残骸として眺めることを勧める。それは失敗から正解を引き出してくることに疲れてしまった我々の似姿のように見えるからだ。
ちゃんとオリジナルをコピーできているかどうか定かではない、不格好な日本のプラグマティズムはその目標にとってまさに格好の対象といって差し支えない。
(「序 八回目に起き上がるために」より)
目次
序 八回目に起き上がるために
第1章 プラグマティズムを大雑把に理解する
第2章 評論×プラグマティズム=田中王堂
第3章 政経×プラグマティズム=石橋湛山
第4章 教育×プラグマティズム=田制佐重
第5章 スポーツ×プラグマティズム=三隅一成
第6章 倫理×プラグマティズム=清水幾太郎
第7章 『思想の科学』の周辺
第8章 哲学×プラグマティズム=鶴見俊輔
終章 試行錯誤のアンチノミーのなかで
荒木優太
1987年東京生まれ。在野研究者。明治大学文学部文学科日本文学専攻博士前期課程修了。2015年、第59回群像新人評論優秀賞を受賞