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「雨が降っている。外へ出るのが億劫だ。車もない。あっても運転できない。こんなときにはソファに寝ころがって行きたい町に本の上でつきあわしてもらうのが分相応というものだ。では、どこへ行くか。・・・・・」
(本文より)
稀代のエンサイクロペディストが自ら選び編んだ最後のエッセイ集。
目次
1 西日の徘徊老人篇(西日のある夏
余生は路上ぞめきに ほか)
2 幻の豆腐を思う篇(すし屋のにおい
幼児食への帰還 ほか)
3 雨の日はソファで散歩篇(永くて短い待合室
素白を手に歩く品川 ほか)
4 聞き書き篇(江戸と怪談―敗残者が回帰する表層の世界
昭和のアリス ほか)
種村 季弘(たねむら・すえひろ)
1933-2004年。東京都生まれ。東京大学文学部卒業。ドイツ文学者。該博な知識人として文学、美術、映画から魔術、神秘学にいたるまで多彩なジャンルにわたり執筆活動を展開した。著書に『ビンゲンのヒルデガルドの世界』(芸術選奨文部大臣賞、齋藤緑雨賞受賞)、『書国探検記』、『魔術的リアリズム』など、翻訳書に『パニッツァ全集』(全3巻)などがある。