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本書はパタゴニアとふらい人書房の協同企画による書籍です。
『鱈-世界を変えた魚の歴史』など、数多くの世界的ベストセラーを生んだマーク・カーランスキーの最新作。本書を読めば、サーモンという魚がどんな魚なのか、人は歴史的にこの魚とどう関わってきたのか、今、サーモンはどういった状況に置かれているのか、といったことが理解できる。まず著者はサーモンがどんな魚なのかを、冒頭のPART1で紹介するのだが、ここで読者はサーモンの意外な生態を知って驚くかもしれない。
サーモンが「生まれた川へ戻る」回帰性について知らない人は少ないと思われるが、「生まれた川へ戻らない」サーモンが種を持続させるために重要な役割を担っていることを知っているだろうか?
あるいは同じサーモンでもベニザケとピンクサーモン(カラフトマス)では回帰率が違い、それぞれの種ごとに独自に仕組まれた生存戦略があるといったこと、サーモンの中で最も古いと考えられているのがサクラマスで、新しい種がピンクサーモンであることなど、著者は科学的な事実をわかりやすい言葉で明らかにしてくれる。次のPART2で、著者はサーモンと人間の関わりについて筆を進める。
ここで私たちが知ることになるのは、人の手によるサーモン殺戮の歴史である。乱暴に言ってしまうと、産業革命以降の人類の発展の歴史は、そっくりそのままサーモンが絶滅へ向かう歴史でもあるのだ。そうして自分たちで殺しておきながら、殺し過ぎて食べる分がなくなると、今度は無理にでも増やそうとして、孵化場を発明し、ほぼ同時期に養殖を始めるわけだが、このあたりがPART3で語られ、最後のPART4でサーモンの、あまり明るいとは思えない将来が語られる。
マーク・カーランスキーはアメリカのコネチカット州ハートフォードで生まれ育ち、マイアミ、フィラデルフィア、パリ、メキシコなどを拠点にジャーナリストとして活動した後、1992年に「A Continent of Islands」で作家デビューした。その後、1998年に「鱈 世界を変えた魚の歴史」でジェームス・ピアード賞を受賞し、15カ国以上に翻訳され、(日本では飛鳥新社から刊行されている)世界的なベストセラーになった。その後もカーランスキーは『塩の世界史』扶桑社刊、「牡蠣と紐育』扶桑社刊、、「紙の世界史』徳間書店刊、『ミルク』パンローリング刊、といったベストセラーを生みだしている。