Detail
友人たちとの朗らかな山行、アイヌの老人との交友、北海道各地へのスケッチの旅などを通して、原野と山脈への変わることのない深い愛情が、力強い山岳画や植物のスケッチとともに綴られる。
■内容
晩秋の日高連峰/春の日高連峰/ポロシリの歌声/又吉物語/初夏の南日高
しらねあおい/吹雪の結婚行進曲/九の沢カールのケルン/五月の五色ガ原からみたトムラウシ/然別湖と西ヌプカウシ
えぞにう/雪原の足あと/春の暑寒別山群/十二月の身辺雑記/原野と日高の山波
へびのたいまつ/ばあそぶとぢいそぶ/広尾又吉の死/夢の白鳥を訪ねて/早春の天狗岳を眺めて
すみれ/流氷と氷原を訪ねて/利尻富士の遠望/熊獲りの弥次馬になった話/僕の個展
坂本直行
1906(明治39)年釧路に生れる。札幌二中(現、札幌西高)から北海道帝国大学農学実科に進み、27(昭和2)年卒業。在学中は山岳部員として活躍。東京で園芸に従事したのち、29(昭和4)年、北海道に帰り、翌年から十勝平野の広尾で友人が営む野崎牧場で働く。さらに36(昭和11)年、同じ町の下野塚の未開拓地に入植し開拓に従事。34(昭和9)年1月、日高山脈コイカクシュサツナイ岳などに初登を記録、また37(昭和12)年1月、厳冬期ペテガリ岳をめざす北大隊に参加するなど、登山活動も行なう。困難な生活の余暇に日高など北海道の山野を主題に、絵筆をとり続け、雑誌「山」などに作品を掲載する。60(昭和35)年、画業を認められて山岳画家として立ち、農業から離れる。ネパールにもスケッチ旅行し、作品を残す。82(昭和57)年逝去。