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動物にも言い分がある。行動の謎に迫る読物。
飼い主を群れのリーダーと思う犬、飼い主を自分の母親と思う猫、漢字を区別するカラス……ハッ!とする動物の謎に迫る。「中学一年で北アルプスの白馬岳を登ったとき、大雪渓の雪の上を一生けんめい歩いている小さな黒い虫たちに気がついた。なぜ雪渓の上を歩いているのか。そもそもどこからきて、どこへいこうとしているのか? 雪の上に食べものはあるのか?」日本を代表する動物行動学者である著者は、少年のころより生きものや自然とふれあいながら、じつにたくさんの疑問を胸のうちに暖めてきた。身近な犬や猫の行動から、チョウやホタル、さまざまな虫たちの行動まで、深い関心を寄せ、疑問を解いていこうとする珠玉のエッセイ集。
第1章 動物たちそれぞれの世界(庭のタヌキ;冬の越しかた;春のチョウ;小鳥の給餌;田んぼのカエル ほか)
第2章 動物の言い分、私の言い分(稲むらの火;京都議定書;二つの美;トルコの旅で感じたこと;遠野を訪れて ほか)
日高敏隆
1930(昭和5)年、東京生れ。東京大学理学部動物学科卒業。
東京農工大学、京都大学教授、滋賀県立大学学長を経て、総合地球環境学研究所所長。
2001(平成13)年『春の数えかた』で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞