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「人間は堕落する。義士も聖女も堕落する。
それを防ぐことはできないし、防ぐことによって人を救うことはできない」第二次世界大戦直後の混迷した社会に、戦前戦中の倫理観を明確に否定して新しい指標を示した「堕落論」は、当時の若者たちの絶大な支持を集めた。
堕ちることにより救われるという安吾の考え方は、いつの時代でも受け入れられるに違いない。他に「恋愛論」「青春論」など、名エッセイ12編を収める。
目次
日本文化私観
青春論
堕落論
続堕落論
デカダン文学論
戯作者文学論
悪妻論
恋愛論
エゴイズム小論
欲望について
大阪の反逆
教祖の文学
不良少年とキリスト
坂口安吾
1906年(明治39年)、新潟生まれ。東洋大学印度哲学科卒業。1946年に発表した『堕落論』が反響を呼び、続く『白痴』によって太宰治、織田作之助らとともに新文学の旗手として文壇に特異な地位を築く。1955年、脳出血により48歳で急逝。