Detail
美人でもなく、賢そうでも若くもない女に惹かれ、家を出た夫。あの人となら暖かい家庭を築けると思ったのに、なぜ──。知人の電話から、夫婦関係の冷たさを思い知る(「コロッケ」)。不倫に疲れ、帰省した先で出会った事件から、まっとうな家族の温かさと女の独り身の侘びしさに気づかされる(「黒豆」)。昭和を舞台に大人の恋、男女の情愛、そして家族の真実を描いた静謐な七篇。
諸田 玲子
1954年、静岡市生れ。上智大学文学部英文科卒。
外資系企業勤務の後、翻訳・作家活動に入る。1996年、『眩惑』でデビュー。2003年、『其の一日』で吉川英治文学新人賞を受賞。2007年、『奸婦にあらず』で新田次郎文学賞を受賞。『あくじゃれ』『黒船秘恋』『昔日より』『天女湯おれん』『木もれ陽の街で』『希以子』『かってまま』『狸穴あいあい坂』『日月めぐる』『遊女(ゆめ)のあと』『灼恋』『末世炎上』『美女いくさ』『楠の実が熟すまで』『きりきり舞い』、「お鳥見女房」シリーズの『お鳥見女房』『蛍の行方』『鷹姫さま』『狐狸の恋』『巣立ち』など、著書多数。