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その夜〈さきちゃん〉は、小さな奇跡に守られていた。失踪した友人を捜す早紀(さき)。祖父母秘伝の豆スープを配る咲(さき)。双子の兄を事故で亡くした崎(さき)の部屋に転がり込んだ、10歳の姪さき……。彼女たちに訪れた小さな奇跡が、かけがえのないきらめきを放つ。きつい世の中を、明るく正直に。前を向いて生きようとする女の子たちに贈る、人生の愛おしさに包み込まれる5つの物語。
よしもと ばなな
1964年、東京生まれ。
詩人・思想家の吉本隆明の次女。日本大学芸術学部文藝学科卒業。
87年小説「キッチン」で第6回海燕新人文学賞を受賞しデビュー。88年『キッチン』で第16回泉鏡花文学賞、同年『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞、89年『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞、95年『アムリタ』で第5回紫式部賞、2000年『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞(安野光雅・選)を受賞。
著作は30か国以上で翻訳出版されており、イタリアで、93年スカンノ賞、96年フェンディッシメ文学賞<Under35>、99年マスケラダルジェント賞の三賞を受賞している。他の著作に『アルゼンチンババア』『王国』シリーズ『デッドエンドの思い出』『イルカ』『ひとかげ』『まぼろしハワイ』『サウスポイント』『彼女について』『アナザー・ワールド 王国その4』など多数がある。