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2011年デビュー10周年を迎えた著者の、創作の原点がわかる、第一エッセイ集。じたばたと考え、小説を書き、小説を読み、記憶をさぐり、そして日常を送る……。世界のなにに注目し、それをどう描いていくのか。新鮮な驚きと独特のこだわりに満ちた、長嶋有ワールドは、どんなに短いエッセイでも健在。文庫化にあたり、書き下ろしエッセイを追加。
「サインしていただけますか・・・・・好きな言葉を書いて下さい」えっ。思わずみつめ返した。
「本当にいいんですね。好きな言葉を書いて」うなずくので、僕は大きく二文字「増刷」と書いた。着いてみると思った以上に間抜けで、小さく「したい」と書き添えたらもっと間抜けになった。
ーセカイとジブンが愛おしくなるエッセイ集。
長嶋 有
1972年生まれ。2001年に「サイドカーに犬」で第92回文學界新人賞を受賞しデビュー。02年に「猛スピードで母は」で第126回芥川賞を受賞、07年に『夕子ちゃんの近道』で第1回大江健三郎賞を受賞した。