Detail
瞬時の判断を要求される同時通訳の現場は、緊張とスリルに満ちた修羅場。
そこからつぎつぎ飛び出す珍談・奇談。爆笑の「通訳論」。
同時通訳者の頭の中って、一体どうなっているんだろう?
異文化の摩擦点である同時通訳の現場は緊張に次ぐ緊張の連続。
思わぬ事態が出来する。いかにピンチを切り抜け、とっさの機転をきかせるか。
日本のロシア語通訳では史上最強と謳われる米原女史が、
失敗談、珍談・奇談を交えつつ同時通訳の内幕を初公開!
「通訳」を徹底的に分析し、言語そのものの本質にも迫る、爆笑の大研究。
著者の言葉
通訳の現場である異文化摩擦の最前線は、感動的な物語や常識を覆すような発見や
耳目を疑うような事件に満ちていて、しかもどれもが絶妙に喜劇的な味付けをされてしまう。
おそらく同一文化圏内の単眼思考回路の枠内では保たれていた厳かな権威が、
異なる常識と発想法の光を浴びると滑稽に映るせいだろう。
わずか百四十年ほどの間に急激に「国際化」を進めてきた日本文化の周辺は、
とくにそういう悲喜劇に事欠かない。
(「あとがき」より)
目次より
プロローグ 通訳=売春婦論の顛末
第1章 通訳翻訳は同じ穴の狢か―通訳と翻訳に共通する三大特徴
第2章 狸と狢以上の違い―通訳と翻訳の間に横たわる巨大な溝
第3章 不実な美女か貞淑な醜女か
第4章 初めに文脈ありき
第5章 コミュニケーションという名の神に仕えて
エピローグ 頂上のない登山
米原万里
1950(昭和25)-2006(平成18)年。東京生れ。1959~1964年在プラハ・ソビエト学校に学ぶ。東京外国語大学ロシア語学科卒。東京大学大学院露語露文学修士課程修了後、1990年まで文化学院大学部で教鞭をとる。1980年設立のロシア語通訳協会の初代事務局長、会長を務めた。1992年報道の速報性に貢献したとして日本女性放送者懇談会SJ賞を受賞。1995年『不実な美女か貞淑な醜女(ブス)か』で読売文学賞(随筆・紀行賞)、1997年『魔女の1ダース』で講談社エッセイ賞、2002年『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。『ロシアは今日も荒れ模様』などの著書がある。