Detail
「叶わなくても希望を追うのが人間の美学」「待ち方のうまい人が幸福になれる」。人間の真実と虚偽、強さと弱さを見据えた感涙の箴言集。
作家・曽野綾子氏はものを語る時、決して自分を棚上げにせず、強者にも弱者にも肩入れしない本質論で迫る。時に辛らつだが、そこには苦い真実が込められている。本書はそんな著者の作品から名言、至言を集めた語録集である。
「叶わなくても希望を追うのが人生の美学」「待ち方のうまい人が幸福になれる」「他人に対して、期待すると当てにするとは違う」「弱さとはその人の財産である」「もらうことを要求する人を老人という」等々。あきらめない人生、断念する勇気、友情、善と悪、子育て、老いと死について二百編を紹介。
そして、著者は「まえがき」でこう述べている。「他人の価値観を鵜呑みにして、どうしておもしろい人生がおくれるだろう。人と同じことを言っていて、どうして尊敬を得ることができるだろう」
損も危険も承知で、自分を持し、自分を売らない人々を応援することば集である。正義や常識に縛られない人生のエッセンスがつまっている。
曽野 綾子
東京生れ。1954(昭和29)年聖心女子大学英文科卒業。
同年発表の「遠来の客たち」が芥川賞候補となる。『木枯しの庭』『天上の青』『哀歌』『アバノの再会』『二月三十日』などの小説の他、確固たる人間観察に基づく、シリーズ「夜明けの新聞の匂い」などのエッセイも定評を得ている。他に新書『アラブの格言』などがある。1979年ローマ法王よりヴァチカン有功十字勲章を受ける。1993(平成5)年日本藝術院賞・恩賜賞受賞。1995年12月から2005年6月まで日本財団会長。