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〈これらを書いている間、僕はビートルズ「サージェント・ペパーズ」やビーチ・ボーイズの「ペット・サウンズ」のことを緩く念頭に置いていた。
と、著者が「まえがき」で記すように、これは緊密に組み立てられ、それぞれの作品同士が響きあう短編小説集である。「ドライブ・マイ・カー」「イエスタデイ」「独立器官」「シェエラザード」「木野」「女のいない男たち」の6編はそれぞれくっきりとしたストーリー・ラインを持ちながら、その筆致は人間存在の微細な機微に触れる。
現代最高の作家がいまできること、したいこと、するべきことを完璧な形で成し遂げた作品集と言えるだろう。
「ドライブ・マイ・カー」「イエスタデイ」「独立器官」「シェエラザード」「木野」他全6篇。最高度に結晶化しためくるめく短篇集。
村上 春樹
1949(昭和24)年、京都府生れ。早稲田大学文学部卒業。
1979年、『風の歌を聴け』でデビュー、群像新人文学賞受賞。主著に『羊をめぐる冒険』(野間文芸新人賞)、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(谷崎潤一郎賞受賞)、『ねじまき鳥クロニクル』(読売文学賞)、『ノルウェイの森』、『アンダーグラウンド』、『スプートニクの恋人』、『神の子どもたちはみな踊る』、『海辺のカフカ』、『アフターダーク』など。『レイモンド・カーヴァー全集』、『心臓を貫かれて』、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』、『ロング・グッドバイ』など訳書も多数。