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幸せな記憶を呼び覚ます、いとおしい私の家――。
エッセイの名手・檀ふみが綴る、住まいをめぐる想い、父の思い出。
父、檀一雄の思い出は、昔の家の記憶と共に蘇る。原稿に行き詰まった父が夜中に料理をしていた台所。友人坂口安吾を居候させていた書斎。父お手製の竹馬で遊んだ庭――。
父は亡くなり、家は建て直された。現在暮らす家の煩雑な悩みは尽きることがない。けれど私の中には「生活すること」を愛した父の魂が息づき始めている――。深い共感と切ない郷愁を誘う、“家"にまつわるエッセイ集。
【目次】
能古島の家 月壺洞
建てたそばから後悔は始まる
「好み」って何?
雨の音を聴きながら
無駄の必要度
バリアフル
この家、大好き!
床の間が欲しい
風呂と日本人
夢のトイレ
屋根裏から
別荘には目玉がいる
おこたの間
石神井の家 瓦全亭
他人の住まいはよく見える
保護色
理想の書斎
贅沢の階段
望ましい隣人
キウイ・ハズバンド
イヌ小屋?ウサギ小屋?
靴のまま、どうぞ
スープのぬれない距離
隣の芝生
離れ 奇放亭
思い出は日ごとに美しい
いつか夢に見る日まで
心の縁側
食卓の春秋
表札はどこへ行った?
春を忘るな
親父の居場所
真夜中の料理人
明るいほうへ
死んだ親があとに遺すもの
モノは限りなく増殖する
絨毯、こわい
モノものがたり
適材適所
新しい人生
あたりはずれ
とりあえず……
思い出とともに
ダメだ、捨てられない!
名画の見つけかた
みんないとしい あとがきにかえて
文庫版あとがき
生活者の視点で書かれた優れた「住宅論」 中村好文
檀ふみ
東京生まれ。作家檀一雄の長女。慶應義塾大学経済学部卒。高校在学中に女優デビュー。数々の映画、テレビドラマなどで活躍する一方で、エッセイストとしても高い評価を受けている。著書に『ありがとうございません』『まだふみもみず』『どうもいたしません』『檀流きものみち』などがある。友人の阿川佐和子氏との共著も多数あり、『ああ言えばこう食う』で1999(平成11)年、講談社エッセイ賞を受賞。