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本書こそ、真の意味で20世紀末のモニュメントだと言えよう。
荒俣宏(序文より)
西表島の原生林を始め、各地にそびえるツバキ、藤、銀杏、松、桂などの巨木。人間の生活を見続けた聖なる樹々を訪ね歩いた著者が思い、感じ、語る、木の生命と日本の物語。
1章 山桜に逢いたい
桜さくら●狩宿の下馬桜[静岡県]
2章 原生林の奥深く
板の根●サキシマスオウノキ[西表島]
水中木出現●魚津埋没林[富山県]
3章 女の力を宿す
宿根の枝●さしまたのツバキ[富山県]
大アベマキ霊験記●口大屋の大アベマキ[兵庫県]
大酒呑みの藤●牛島の藤[埼玉県]
老木の乳柱●飛騨高山の大銀杏[岐阜県]
4章 生活の守り神
養蚕の神●薄根の大桑[群馬県]
巨樹に憩う●椋本の大椋[三重県]
阿波の「阿呆水」vs 大楠●加茂の大クス[徳島県]
縁結びの木●愛染桂[長野県]
殿様拝領の松●萩原の大笠松[群馬県]
語部を失った巨樹●府馬の大クス[千葉県]
5章 天にも昇る気
巨樹の揃い踏み●智満寺十本杉[静岡県]
金花芳香二里四方●三島神社のキンモクセイ[静岡県]
6章 異形・異端の奇
天狗の枝垂れ栗●小野のしだれ栗[長野県]
イザナギの梛 凪ぎの梛●熊野速玉大社のナギ[和歌山県]
7章 歴史を写す
林立栗柱の怪●チカモリ遺跡出土の木柱根[石川県]
のたうち殖える天神の梅●藤川天神の臥竜梅[鹿児島県]
女性上位の夫婦欅●根古屋神社の大欅[山形県]
渋柿の系譜●庄内ガキの原木[山形県]
栃の木は残った●利賀のトチノキ、脇谷のトチノキ[富山県]
8章 樹齢千年の死
一期一会の大樫●高尾山麓の千年樫[東京都]
牧野和春
1933年、鳥取県生まれ。慶應義塾大学文学部卒。ジャーナリストをへて1968年、牧野出版を創立。
著書は『桜の精神史』『樹齢千年』『異相巨木伝承』(以上、牧野出版)、『巨樹の顔』(共著・朝日新聞社)、『桜伝奇』(工作舎)、『森林を蘇らせた日本人』(NHKブックス)、『鎮守の森再考』(春秋社)、『巨樹と日本人』(中公新書)など多数。
全国巨木フォーラムを支援して、講演活動やフィールドワークのため日本各地を飛び回る。全国巨樹・巨木林の会理事。ふるさと新構想研究会代表。