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パタゴニアの烈風の下、晴れすぎるぐらいの空を眺めていたら、ふと空がとても悲しく見えてきた。そうか、時として青空は悲しいものなのだと気づいたとたん、青空の風景がガチャリと音をたてて進化したような気がした―。いつか見た風景や、まだ見ぬ風景が心の中で重なりあって、全く新しい風景が生まれてくるような瞬間をとらえたエッセイ集。著者自身による写真も多数収録。
目次
どははは列車
銅砲坂のオドロキ男
愛と闘魂の安全三角地帯
三段跳び納屋君からの小包
とおりすぎる人々
沈黙電話が鳴っている
二枚ガラスの向こう側
さすらいの汲み取り便所
三匹の蛾と浜口ユウジ君
待っている女〔ほか〕
椎名誠
1944年6月東京都生まれ。東京写真大学中退。
「本の雑誌」編集長。世界の辺境地区への旅をライフワークにしている。1979年、エッセイ『さらば国分寺書店のオババ』でデビュー。
88年『犬の系譜』で第10回吉川英治文学新人賞、90年『アド・バード』で第11回日本SF大賞受賞。