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住人ゼロ、上陸禁止、馬だけが暮らす幻の島
深い記憶の中に霞ゆく馬たちの島
北海道の東端、根室半島の沖合に佇むユルリ島。
かつては昆布を採集する漁師の住居や番屋が建っていたが、家畜の馬を残して最後の島民がユルリを離れたのが半世紀前。
最盛期には30 頭もの馬が暮らしていたが、その数は減り続け、今では数頭が暮らすだけになっている。
上陸が厳しく制限されたこの島の情景は小説『ロスト・ワールド』の世界を彷彿させるようでもある。その島を2011 年から撮り続けているのが写真家・岡田敦。
消えてゆくものたちを見つめ、後世に何を伝えてゆくのか。
写真と文章で現代のロスト・ワールドを紹介していく。
岡田 敦(おかだ・あつし)
1979年、北海道生まれ。2003年、大阪芸術大学芸術学部写真学科卒。
2008年、東京工芸大学大学院芸術学研究科博士後期課程にて博士号(芸術学)を取得。
同年、“写真界の芥川賞”とも称される木村伊兵衛写真賞を受賞。
その他、北海道文化奨励賞、東川賞特別作家賞、富士フォトサロン新人賞などを受賞。
主な写真集に『I am』(赤々舎/2007年)、『ataraxia』(青幻舎/2010年)、
『世界』(赤々舎/2012年)、『MOTHER』(柏艪舎/2014年)、
『安田章大写真集 LIFE IS』(マガジンハウス/2020年)などがある。
作品は北海道立近代美術館、川崎市市民ミュージアム、
東川町文化ギャラリーなどにパブリックコレクションされている。