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二〇世紀の終わりまでに、私たちはみな週五時間程度だけ働くようになっているだろう―。
ケインズの八〇年前の予言は見事に外れた。
先進諸国でも、経済競争力強化を理由に労働時間の短縮は進んでいない。
グローバリゼーションが加速する中、所得の格差も急速に拡がりつつある。
雇用機会や賃金において拡大する不平等に歯止めはかかるのか。
半世紀にわたって「働くということ」の意味を問いつづけてきた思索の到達点。
目次
第1章 労働の苦しみと喜び(あなたの不安が私の平和を脅かす;グローバリゼーション ほか)
第2章 職場における競争の激化(効率は市場競争から;成果主義 ほか)
第3章 柔軟性(イギリスの一つの誇り;労働市場の柔軟性 ほか)
第4章 社会的変化の方向性(何が公正か;力の次元 ほか)
第5章 市場のグローバル化と資本主義の多様性(逆転の可能性;標準を押し付けること ほか)
ロナルド・ドーア
1925年、イギリスに生まれる。ロンドン大学東洋アフリカ研究学院卒業。
戦時中、日本語を学び、1950年、江戸教育の研究のため東京大学に留学。
カナダ、イギリス、アメリカの大学の社会学部や政治学部教授を経て、ロンドン大学LSEフェロー。