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アラスカを見つめつづけた故・星野道夫が遺した写真と文章を新編集したMichio's Northern Dreamsシリーズ3作目の文庫化。1996年に急逝してから10年近く経つ現在でも、多くの人々が、その比類のない作品世界に魅せられつづけているのはなぜだろうか。
本書では、アラスカの厳しい自然が一方で持っている温かな表情を収録。やわらかな四月の風が、張りつめた冬の大気をゆっくりとほぐしてゆく瞬間。
束の間の夏を生き生きと動き回る動物たち。地の果てのような谷で、次々につぼみを開かせる花々。半年の間凍りついていた川が、ある日、ボーンという爆発音とともに割れて、いっせいに流れ出すとき。アラスカの過酷な自然は、人間や動物だけでなく、すべての生き物にとって「楽園」なのだ。
強い者も弱い者もすべてを包容する自然の大きさに希望を感じる一冊。
星野道夫
1952年千葉県生まれ。慶応大学経済学部卒業。
78年アラスカ大学野生動物管理学部に留学。
86年アニマ賞、90年木村伊兵衛賞受賞。
96年、カムチャツカにて逝去。