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少年の頃に開いた書物の森で、あるいは「学校」のようだった酒場の片隅で、沢木耕太郎が心奪われるように出会ってきた作家たち。山本周五郎、向田邦子、山口瞳、色川武大、吉村昭、吉行淳之介、小林秀雄、瀬戸内寂聴など、書くことが即ち生きることだった19人の作家に正面から相対し、その本質を描き出す。誰も知らなかった顔に辿り着き、緊張感さえ孕むスリリングな刺激あふれる作家論!
目次
必死の詐欺師 井上ひさし
青春の救済 山本周五郎
虚構という鏡 田辺聖子
記憶を読む職人 向田邦子
歴史からの救出者 塩野七生
一点を求めるために 山口瞳
無頼の背中 色川武大
事実と虚構の逆説 吉村昭
彼の視線 近藤紘一
運命の受容と反抗 柴田錬三郎
正しき人の 阿部昭
旅の混沌 金子光晴
絶対の肯定性 土門拳
獅子のごとく 高峰秀子
沢木耕太郎
1947年、東京生れ。横浜国大卒業。ルポライターとして出発し、鮮烈な感性と斬新な文体で注目を集める。『若き実力者たち』『敗れざる者たち』等を発表した後、’79年『テロルの決算』で大宅壮一ノンフィクション賞、’82年『一瞬の夏』で新田次郎文学賞、’85年『バーボン・ストリート』で講談社エッセイ賞を受賞。’86年から刊行が始まった『深夜特急』三部作では、’93年、JTB紀行文学賞を受賞した。’06年『凍』で講談社ノンフィクション賞を、’14年『キャパの十字架』で司馬遼太郎賞を受賞