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北関東新聞の古参記者、悠木和雅は、同僚の元クライマー、安西に誘われ、谷川岳に屹立する衝立岩に挑む予定だったが、出発日の夜、御巣鷹山で墜落事故が発生し、約束を果たせなくなる。一人で出発したはずの安西もまた、山とは無関係の歓楽街で倒れ、意識が戻らない。「下りるために登るんさ」という謎の言葉を残したまま―。未曾有の巨大事故。社内の確執。親子関係の苦悩…。事故の全権デスクを命じられた悠木は、二つの「魔の山」の狭間でじりじりと追い詰められていく。
横山秀夫
昭和32(1957)年東京生まれ。国際商科大学(現・東京国際大学)卒業後、上毛新聞社に入社。12年間の記者生活の後、フリーライターとなる。平成3年「ルパンの消息」が第9回サントリーミステリー大賞佳作に。同10年に「陰の季節」で第5回松本清張賞受賞。同12年「動機」で第53回日本推理作家協会賞短編部門賞を受賞する。