Detail
「取材費は惜しまない。胃潰瘍になるくらい食べてくれ」。
官庁の余った予算を使い切るため生み出された「相対的景気調査官」なる珍妙な役職。
日本全国のあらゆる名物を食べ歩き、食の現場が景気によってどう影響わ受けているかを“実感的”にレポートするのが任務だが…。
美味・珍味を描写し尽くし、人が持つ食への限りない執着を浮かび上がらせる異色の食紀行小説。
開高健
1930年、大阪市生まれ。大阪市立大卒。’58年、「裸の王様」で芥川賞を受賞して以来、次々に話題作を発表。ベトナム戦争のさなか、しばしば戦場に赴いた経験は、『輝ける闇』(毎日出版文化賞受賞)、『夏の闇』などに凝縮され、高い評価を受けた。’79年、『玉、砕ける』で川端康成文学賞、’81年、一連のルポルタージュ文学により菊池寛賞、’87年、自伝的長編『耳の物語』で日本文学大賞など、受賞多数。’89年、逝去。享年58。