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スーパーや八百屋の店頭に並ぶバナナの九割を生産するミンダナオ島。
その大農園で何が起きているか。かつて王座にあった台湾、南米産に代わる比国産登場の裏で何が進行したのか。安くて甘いバナナも、ひと皮むけば、そこには多国籍企業の暗躍、農園労働者の貧苦、さらに明治以来の日本と東南アジアの歪んだ関係が鮮やかに浮かび上がる。
目次
1 バナナはどこから?―知られざる日・米・比の構図
2 植民地ミンダナオで―土地を奪った者、奪われた者
3 ダバオ麻農園の姿―経営・労働・技術
4 バナナ農園の出発―多国籍企業進出の陰に
5 多国籍企業の戦略は?―フィリピン資本との結びつき方
6 契約農家の「見えざる鎖」―ふくらみ続ける借金
7 農園で働く人びと―フェンスの内側を見る
8 日本へ、そして食卓へ―流通ルートに何が起ったか
9 つくる人びとを思いながら―平等なつながりのために
鶴見良行
1926‐94年。ロスアンゼルス生まれ。1952年東京大学法学部卒業。
財団法人国際文化会館企画部長、上智大学講師、龍谷大学経済学部教授等を歴任。