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幼き日の海苔弁当の思い出から時代劇の食べもの、卵のスケッチ、そして大根の滋味に目覚めるまで。
あるいは東京下町から奥多摩、仙台、湯布院、さらにフランス、スペイン、インドネシアまで―。
古今東西の味と人をめぐるおいしい話の数々を、時代小説の大家にして食エッセイの達人が味わい深く描く。
目次
ミルクなしのコーン・フレイクス
時代小説の食べもの
ナポレオンの食卓
卵のスケッチ
朝食
芝居と食べもの
連想
仙台にて
テレパシーと富士山
料理人の星
髪と髭
大根
ハンバーグステーキ
二黒土星
越中井波
旅館の食膳
トロワグロの料理
アルルの雷雨
ホテルの少年少女たち
サン・マロの牡蛎
回転橋のおかみさん
ブリュージュの桜桃
続 二黒土星
弁当
鰈と骨湯
鼠の糞
某月某日
元禄忠臣蔵
北の湖
インドネシア
奥多摩の一日
食日記
続 食日記
池波正太郎
大正12年(1923)東京・浅草生まれ。
小学校卒業後、株式仲買店に奉公し、昭和19年、応召により横須賀海兵団に入隊する。
戦後、下谷の保健所に勤務するかたわら劇作に励み、21年「雪晴れ」で読売新聞社の演劇文化賞に入選。
23年、長谷川伸の門下に入り、新国劇のために数多くの脚本を発表する一方、時代小説を執筆し、35年「錯乱」で直木賞を受賞。
その後、「鬼平犯科帳」「剣客商売」「仕掛人・藤枝梅安」のシリーズを生み出し、52年に吉川英治文学賞、63年に菊池寛賞を受賞する。
映画や音楽、食に関するエッセイも多数。平成2年(1990)五月死去。