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ドイツの神経研究所で学ぶひとりの日本人精神科医。
彼が遠い異国へやって来たのは、人妻との情事に終止符を打つためでもあった。
ドナウ源流地帯、チロルの山々、北国の町々―ヨーロッパを彷徨う彼の胸に去来する不倫の恋への甘美な追憶、そして、作家としての目覚めと将来への怯え。
著者自身の若き日の魂の遍歴をふり返り、虚構のうちに再構成した“心の自伝”。
『幽霊』の続編。
北杜夫
1927(昭和2)年、東京青山生れ。旧制松本高校を経て、東北大学医学部を卒業。
’60年、半年間の船医としての体験をもとに『どくとるマンボウ航海記』を刊行。
同年、『夜と霧の隅で』で芥川賞を受賞。
その後、『楡家の人びと』(毎日出版文化賞)、『輝ける碧き空の下で』(日本文学大賞)などの小説を発表する一方、ユーモアあふれるエッセイでも活躍している。