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「前略 蔵王のダリア園から、ドッコ沼へ登るゴンドラ・リフトの中で、まさかあなたと再会するなんて、本当に想像すら出来ないことでした」
運命的な事件ゆえ愛し合いながらも離婚した二人が、紅葉に染まる蔵王で十年の歳月を隔て再会した。
そして、女は男に宛てて一通の手紙を書き綴る―。
往復書簡が、それぞれの孤独を生きてきた男女の過去を埋め織りなす、愛と再生のロマン。
宮本輝
1947(昭和22)年、兵庫県神戸市生まれ。
追手門学院大学文学部卒業。
広告代理店勤務等を経て、’77年「泥の河」で太宰治賞を、翌年「蛍川」で芥川賞を受賞。
その後、結核のため一年ほどの療養生活を送るが、回復後、旺盛な執筆活動をすすめる。
『優駿』(吉川英治文学賞)等、多くの作品がある。