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父母兄弟よりも、祖国よりも、お金よりも、雲を愛すると宣言して、詩人の立場を鮮明に打ち出した『異人さん』。
耐えがたいこの世からの脱出を叫ぶ『どこへでも此世の外へ』。
ほかに、パリの群衆の中での孤独を半ば自伝的にしるした散文詩全50篇を収録。
『悪の華』と双壁をなし、後世の文学に絶大な影響を与えたボードレール晩年の成果を、わが国の天才詩人三好達治の名訳で贈る。
アルセーヌ・ウーセイに与う
異人さん
老婆の絶望
芸術家の告白
剽軽者
二重の部屋
人みな噴火獣を負えり
愚人と女神
犬と香水壜
けしからぬ硝子屋〔ほか〕
ボードレール
1821‐1867。フランスの詩人。
大学法学部在籍中、友人の文学青年に感化され、以後放埒な生活を送りながら美術批評と詩を著す。
処女作は1845年発表の批評『1845年のサロン』。
代表作『悪の華』と没後’69年に出版された『巴里の憂鬱』に収められた散文詩は、従来の韻律にとらわれない斬新かつ画期的なもので、近代詩全般の基礎となった。