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鴎外、露伴、藤村、漱石、荷風。明治の文豪たちが洋楽をどう受けとめたのかを、エピソード豊かに綴る。
ドイツ留学中にオペラの世界に魅了された森鴎外は帰国後、日本での歌劇上演を夢み、幸田露伴は最初期の女流音楽家を妹に持っていた。
夏目漱石はヴァイオリンを弾く弟子寺田寅彦に誘われて奏楽堂通いをし、永井荷風はニューヨークやパリで劇場三昧の日々…。
本書は、怒涛のように流入する西洋文明・西洋文化と格闘した明治期の文学者たちが、クラシック音楽にどのようにかかわったかをいきいきと描くものである。
目次
1 森鴎外とオペラ(ドイツで見たオペラ;ライプツィヒ市立劇場の『オルフェオ』公演 ほか)
2 幸田露伴と洋楽家の妹、延(お茶坊主の家;露伴による延の小伝 ほか)
3 島崎藤村と東京音楽学校1(賛美歌を口ずさんだ日々;教会籍の離脱と恋愛 ほか)
4 島崎藤村と東京音楽学校2(スキャンダルに巻き込まれた橘糸重;橘糸重の家に集まった芸術家 ほか)
5 夏目漱石と寺田寅彦(熊本での出会い;東京での再会 ほか)
6 永井荷風の音楽遍歴(明治二、三〇年代の東京の山手生活と音楽;音楽という「不正の娯楽」への興味 ほか)
滝井敬子
1946年(昭和21年)生まれ。東京芸術大学大学院修了(音楽学専攻)。
現在、音楽プロデューサー、東京芸術大学演奏芸術センター常勤助手