Detail
久住昌之と土山しげるが初タッグで描く、孤独な「食」との戦い。ひとり飯の世界を綴ったエッセイ『野武士のグルメ』が遂にコミック化。決して豪華な料理じゃないけれど、胃袋をジワジワ刺激する「食」が満載。オリジナル描き下ろし編を含む、全9話を収録。
定年を迎えたばかりの香住武(60歳)は、第二の人生を静かに歩きはじめた。ある日の昼下がり、散歩の途中で小腹が空いた香住は、ソースの焦げた匂いに誘われて一件の食堂へ。夏の名残、少し歩くと汗ばむ九月。壁のメニューに「ビール」をみつけ、迷いながらも注文。35年のサラリーマン生活では平日の昼間にビールなんて考えられなかった。罪悪感、優越感、高揚感が頭を渦巻く。だが、その瞬間に一杯の旨さ、ひとり飯の快感に出会ってまう。それをきっかけに香住の「ひとり飯」との戦いが始まるのだが、そのハードルは意外に高く、彼を思い悩ませてばかり……。だが、食べたいものが脳裏に浮かぶと、もう食べずにはいられないのだ!!
<収録コンテンツ(一部抜粋)>
「九月の焼きビール」
35年に渡るサラリーマン人生を真面目に勤め上げた香住武は、定年後の生活に一抹の不安を抱いていた。だが、ある日なにげなく通りかかった近所の食堂で「ひとり飯」の快感に出会う!!
「タンメンの日」
定年後のサラリーマンは「野武士」のように食事と対峙するべき……そんな決意が、これまでの内気な性格を少しずつ打破していく。今日も果敢に「ひとり飯」。頭に浮かぶは熱々のタンメンだ!!
「朝のアジ」
自由な時間を謳歌する香住武。友人宅へ遊びに行った帰り、勢いにまかせてふらりと海辺の民宿に草鞋を脱いだ……まさに野武士。そこで、予期せぬ思い出の味に出会ってしまう!!
「殿様の麦とろ飯」
民宿で思い出の味に出会った高揚感から、帰路の車中で大好きな歴史妄想が頭をよぎる。それは旅路を急ぐ参勤交代の列。腹を空かせた我儘な殿様の食事……駄目だ、無性に食べたくなってきた!!
「かっこ悪いスキヤキ」
香住武にとって子供の頃のご馳走といえば「スキヤキ」……最近では食べる機会がめっきり減ったが、そのチャンスは突然にやってきた。今夜は胸が高鳴る老舗スキヤキ店へ、いざ出陣!!
久住昌之
1958年東京都生まれ。マンガ家、ミュージシャン。1981年、和泉晴紀とのコンビ「泉昌之」の『夜行』でマンガ家デビュー。実弟・久住卓也とのユニットQ.B.B.作の『中学生日記』で第45回文藝春秋漫画賞を受賞。谷口ジローとの共著『孤独のグルメ』、水沢悦子との共著『花のズボラ飯』など、マンガ原作者として次々と話題作を発表する一方、エッセイストとしても活躍する。
土山しげる
1950年石川県生まれ。漫画家。望月三起也に師事し、「月刊少年チャンピオン」でデビュー。2007年、『喰いしん坊! 』で第36回日本漫画家協会賞優秀賞を受賞。代表作は『極道ステーキ』『借王(シャッキング)』『喧嘩ラーメン』『極道めし』など、多数。